居場所をください。



あの人も立場的に難しいんだな。


……………起こすか、とりあえず。

リズムが狂わせないようにって

あの人そんなとこにまで口出しするんだな。


俺は構わず美鈴の部屋に入った。


「美鈴、起きろ。」


俺は美鈴をゆさゆさ揺すった。


……………起きねーし。


「美鈴!」


「……………んー…。」


「起きろよ。」


「んー……………」


「寝起きわりーな。」


「……………え…貴也?」


「じゃなきゃ俺は誰なんだよ。」


「……………なんで私の部屋にいるの!」


あ、起きた。


「長曽我部さんに起こせって頼まれたから。」


「普通女の子の部屋に男いれるー?

それでも兄ですか…。」


「別に俺なんにもしねーし。」


俺がそういうと、美鈴は俺を見ながら膨れた。


「なに、なんかしてほしかったわけ?」


「べ、別に!」


美鈴は顔を赤くして部屋から出ていこうとした。


照れてる美鈴が可愛くて

俺は後ろから抱きしめていた。


「しかたねーじゃん。

俺ら友達だろ?」


「……………うん、そうだね。」


これ以上の事はできねーけど

今はこれだけでも幸せだ。


ずっと抱きしめたかったし。



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