居場所をください。
俺はなにも話さないまま車へ乗った。
「……………なんで離れて座ってんの?」
俺が運転席に座ると
美鈴は3列目に座った。
そんな俺らを見て佐藤さんが言った。
「気にしないで行ってください。」
美鈴がそういうと車が発進した。
「会社にまだマスコミ来てるから
貴也はパーカー脱いでこのジャケット着ろ。
で、このヅラかぶって。」
俺は言われた通り着替えてヅラを被った。
「で、この眼鏡して。」
言われた通りしたけど……
「これじゃ長曽我部さんじゃん。」
「俺が美鈴ちゃんといたら不自然だろ。
俺がマネージャーって浸透してねーし
貴也のマネージャーがなんで……………ってなるだろ。
かといって美鈴ちゃん一人で歩かせるわけにはいかねーし。
貴也は背格好が長曽我部さんと似てるしな。」
俺が長曽我部さんに化けるわけね。