居場所をください。
「……………美鈴には言わないんですか?」
「言うよ。ただ先に貴也に確認。
どうする?」
利用されても、か…。
「……………俺はそれでもいいです。」
「わかった。
じゃあ俺から美鈴には言う。」
「貴也、美鈴泣かすなよ。」
長曽我部さんが言ったあと
社長が言った。
「……………それはどの立場から、ですか?」
「もちろん、父親として。」
「え?」
社長が言ったあと佐藤さんが反応した。
知らなかったってことか。
「佐藤、詳しくはまたあとでな。
貴也。俺ら家族は絶対公表できない。
隠し子だから、バレたら美鈴もこの事務所も終わりだ。
だから美鈴は思いっきり甘えられる場所がない。
美鈴の新曲聴いてるとつくづく思うんだ。
あいつの居場所は俺のとこでも
ひかるのとこでもないんだなって。
だから貴也にお願いしたい。
お前はどうどうと公表できる立場なんだ。
だから美鈴をどうか大事にしてやってくれ。」
「社長、言われなくても大事にしますよ。
俺のこと、信用してくれてますよね?」
「……………そうだな。」
「長曽我部さん、美鈴には俺から言います。」
「そうか?」
「はい。」
「じゃあ頼むわ。」
「貴也、とりあえず仕事に行こう。
撮影行かねーと。」
佐藤さんが言った。
「あー、うん。
それじゃ仕事いってきます。」
「おう、しっかりな。」
俺は長曽我部さんと社長に見送られ
仕事に向かった。