居場所をください。



それから一時間くらいして

やっとリハ。


俺、こんなはやく入った意味あんのか?


美鈴は綺麗にメイクされ、

髪の毛もゆるく巻かれていた。


美鈴は仕事となるとギャルっぽくなる。

普段は全然そんなことねーけど

まぁ長曽我部さんの指示なんだろうな。


ギャルっつーか、化粧が濃い。

目がキラキラしてる。


最近こういうギャルはあんま見ねーけど

なんでか美鈴がしてても古くは感じない。

斬新。それがまたいいのかもしれない。


「貴也!」


「おう。」


俺を見つけて笑顔で近寄ってくる美鈴。

だけど


「美鈴はそっちじゃねぇ。」


長曽我部さんに掴まれ連れていかれる。

なんだか親猫と子猫みたいで

面白くて思わず笑ってしまった。


初めて美鈴を見たときは大人びて見えたけど

よく笑うようになった美鈴は

長曽我部さんといると一層ガキに見える。


本当に兄弟でも違和感がない。

当たり前だけど。


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