居場所をください。



それから映画が始まるまで俺らはずっと話し続け、

映画が始まってからは真剣に映画を見た。


主演だしな。


で、終わったあとは挨拶があるわけだが……………


「うー…すっごい感動~…!」


美鈴は始まるまで沙耶香に嫉妬してたくせに

いざ見ると感動して号泣。


「そんな泣くとメイク落ちるぞ。」


「だって…ッ」


……………どんだけ泣くんだよ。

「ほら、メイク直してこい。」


「……………うん…」


美鈴は控え室に一旦戻った。


「よ、貴也。」


「長曽我部さん。」


「美鈴、どうした?」


「映画に感動して泣きすぎてメイク直しに。」


「はは、あほか。

あんなに嫌がってたくせにな。」


「嫌がってた?」


「ん?あぁ、いや。

お前らの共演が決まって

お前が沙耶香と付き合って

そういうのすべて含めて

この映画、見たくねーって。」


……………そういうことか。

いろんな想いが詰まってたってわけね。


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