居場所をください。



それから貴也が戻り、朝食を済ませた私たちは

それぞれ支度をして、迎えを待った。


テレビをつけるときっと愛翔くんの話題。

それがわかってるからか、

誰もテレビはつけない。

みんな台本を読んでいる。


静かなこの空間が

ちょっと居心地が悪い。


~♪~♪~♪


「わ!ご、ごめん。」


静かな空間に私のスマホの着信音が響いた。


"着信 朔也"


はぁ?朝からなに。


「もしもし?」


『よ!おはよ!』


「朝から元気だね。」


『まーな!

瑠樹がスマホ止まったって言うからさ~。』


「はは、どうでもいいよ。

高橋自分で払ってるの?」


『みたいよ?バイトしてるし。』


「へー、そうなんだ。

ってか用件は?まさか今の?」


『あぁ、そうだ。

あのさー、水野愛翔と仲いい?』


「今一緒にいるけど。」


『えぇ!まじかよ!

なんでこんな朝から!』


「まぁいろいろと。

で、それがどうかしたの?」


『水野愛翔の彼女さ、

キスしてる相手!

瑠樹が言うには美鈴の知り合いじゃねーかって。』


「は?え、誰?」


『名前なんだっけかなー。

昨日聞いたのに忘れた。』


「はぁ?もー、記憶力悪いよ。」


『うるせっ。

でも施設のやつっていってた。』


「え…嘘でしょ?ほんとに?」


『まーたぶん、だけどな。

顔見えねーし。

ただ瑠樹はあの写真の左手首見て

この腕時計とアクセサリーは確か…

とか言ってたけど。』


「え、ちょっと待って。

貴也スマホ貸して。」


「は?俺?はい。」


私はスマホを借りて

ネットニュースで写真を確認した。


「うん、確かに…。」


これは藍子だ。


『まぁそれがどうしたってわけじゃねーけど

瑠樹が美鈴には言おうって言ってたから伝言。』


「でもなんで朔也?

夏音でもいいじゃん。」


『さぁ?

吉田さんじゃ妬いちゃうからとか?』


「あー、そっか。

そんなことで夏音が怒るとは思えないけど。」


『ま、それだけ。

今日行くから。頑張れよ。』


「うん、ありがと。

じゃーね。」


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