居場所をください。

「貴也、スマホありがと。」


「おう、いいけど。

誰？」


「朔也。

愛翔くんのキスの相手、

藍子じゃないかって。」


「え、知ってんの？」


私が藍子の名前を出すと

愛翔くんが反応した。


「やっぱ藍子なんだ？」


「まぁ…。

美鈴ちゃん知り合い？」


「同じ施設だったの。

しかも相部屋。」


「えぇ！？

じゃああの子も…。」


「藍子は捨てられたんじゃなくて

親が死んじゃったんだけどね。」


「そうなんだ…。」


「藍子、可愛いでしょ。」


「え、あぁ…。」


「でも誰かを本気で好きになったりしない。

いつも違う男をつれてて…。


施設にいるとね、親がいない分

みんなはなにかで気持ちを埋め合わせるの。

寂しい気持ちを押し殺すために。


藍子はそれが男だった。」


その気持ちはわからなくはなかった。

私の場合はバイトで時間を潰していたけど…。