居場所をください。
「美鈴はさ、なんでこの世界きたわけ?」
「……………居場所がほしかったから。」
「居場所?」
「まだ隼也にも言ってないけど
私は親に捨てられたの。
ずっと施設で育った。
施設にいる子達はみんな孤独で
小さい頃は仲も良かったんだけど
この歳になるとあんまり仲もよくなくて
本当に嫌なことばっかりだったの。
だからバイトもいっぱいした。
18になったら絶対出ていくって決めて。
それに、学校でもさ
施設育ちってそれだけでからかわれるの。
中学でも、高校でもね。
親も、友達もいなくてさ
居場所が見つからなかったの。
そんな時突然長曽我部さんが現れて
私を連れ出してくれた。
今は信じて突き進むだけだよ。」
「で、見つかったのかよ。居場所は。」
「そんなすぐは無理だけどさ。
でも今はみんな私をまともに相手してくれるでしょ。
施設育ちって知ってても。
だから今の方が全然まし。
それに、どこかにいる両親が見てくれるかもしれないしね。」
「ふーん…。」