居場所をください。
「おじさん!」
病院についた俺を出迎えてくれたマスター…
いや、誠の親父は俺にすぐ駆け寄ってきた。
「……………検査結果は出てる。
すぐに医師のところへいこう。
身内じゃないとこういう話は聞かされないから。」
「うん…。」
俺はおじさんと担当医のところへ向かった。
「すみません、こいつが唯一の家族なんです。」
「息子の松野貴也です。」
「……………そうですか。
ではこちらへ。」
俺は医師と小さな部屋に入った。
「……………肝臓がんです。」
「がん、ですか…。」
「もともとは乳ガンでした。
それが肝臓に転移したようです。
倒れたのは痛みによるものでしょう。
骨にも転移しており、動くと痛みがあったはずです。
恐らく、以前から。」
「……………そうですか。」
「一緒に住まわれてはいないのですか?」
「はい。離れて暮らしていて…」
「そうですか…。」
「あの、母の状態は…。」
「…非常に良くない状態です。
リンパ、骨にも転移しており、手術はしても意味がない状態です。
抗がん剤も、肝臓にはあまり効き目がありません。
残念ですが…痛みを緩和し、その時を待つしかないと思ってください。」
「……………助からない、ということですか。」
「はい。
5年生存率はかなり低いです。
恐らく長くても2年
1年以内に…という可能性も高いです。」
余命宣告ってことか…。