居場所をください。




絶望って、こういうことを言うのかな。


俺、どうしたらいいんだよ…。


「貴也!」


「おじさん…誠…。」


「……………その様子だといいことは言われなかったようだな。」


「…母さんのとこいってくるわ。

悪いけど今日は帰って。」


「大丈夫か?」


「ごめん。」


今は誰とも、なんにも話したくない。




……………ここか。

俺は母さんの病室のドアを開けた。


「……………母さん…。」


「貴也……ごめんね。

心配かけたね。」


「……………いつから自覚あったんだよ。」


「年明けくらい。

食欲がなくなったんだよね。」


「なんで言わねーんだよ…。」


「歳のせいかと思ってたんだ。

最近は痛くて痛くて。

まさかガンだったなんてね。」


「治療、しねーんだって?」


「……………してもね、助からないから。

副作用に苦しんでも助からないなら

痛みを緩和してもらって残り少ない人生

楽しんだ方がいいでしょ?」


「でも…」


「貴也、母さんの最後のお願いだから。

勝手に芸能界入れたり、

好き勝手やってきたけどこれが最後だから。

ごめんね、最後の最後まで。」


最後とか…言ってんなよ…。



< 954 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop