居場所をください。



「タクシーで行く?」


「うん。少し距離あるしね。」


「じゃあそこまで送るわ。

変なのに絡まれても困るし。」


「はは、ありがと。」


改めて朔也を見ると

人間の変化に驚きを隠せないよね。


私に告白してきた人だとは思えない。

真面目君かと思ったよ。

まぁ高橋の友達って知ったときは

嘘でしょ?と思ったけどさ。

実は本性はこっちだった、ってわけだもんね。


「何見てんの?」


「んー?私に告白してきた時とは

ずいぶん違うなって思って。」


「それ何回目?」


「何回でも思うよ。

別人過ぎて。」


「まぁなー。

人の変化ってすげーよな。

俺も去年の今ごろは美鈴のことが好きだったのに

今は違う女と付き合ってんだもんな。」


「そんなこといったら私の方が…でしょ。

あんないじめられてた私が

今じゃ歌手で貴也の彼女だよ?

お金がほしくてバイトしてた私が

今じゃタクシーに簡単に乗るようになって

自分の変化が一番恐ろしい。」


「ま、人間どん底でも

なにがあるかわかんねーってことだな。」


そうだよね。

私は本当にシンデレラストーリー。


だから人生って楽しいのかな。



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