居場所をください。



結局大通りに出て

朔也がタクシーを拾ってくれた。


「朔也も乗ってけば?

送ってくよ?」


「いや、いいよ。」


「そっか。

じゃあありがとね。

またね。」


「おう。」


私は朔也と別れて

撮影現場へと向かった。





……………ん?


撮影現場にはなぜか人だかり。

外から見えるのかな?


「すみません、ここでいいです。」


なんとなくあそこで降りるのが嫌で

私は手前でタクシーを降りた。



なにやってんだろ。




近づくとその人だかりがマスコミだということに気づく。



「美鈴ちゃん!」


少し小声で聞こえたその声に

私は振り向いた。


「あら、佐藤さん。」


おばさんか、私。


「あれ、どうしたの?」


「実は愛翔と噂になってる子が来てるんだ。」


「え……?」


藍子が…?
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