居場所をください。




「…何してるの?こんなとこで。」


マスコミの中心にいる藍子に話しかけた。


「あ!五十嵐さん!

松野くんの撮影見学ですか!?」


「あ、はい。時間ができたので。

……………藍子はここで何してるの?」


「五十嵐さんは愛翔くんの彼女さんとご友人なんですか!?」


マスコミが話を割ってくる。


「彼女?誰がですか?」


「え?いや、この子が…」


「藍子は彼女じゃないですよ。

愛翔くんも、愛翔くんの事務所も認めていないですし

愛翔くんから直接、彼女じゃないと聞いていますから。

それに、私は藍子の友達ではありません。」


「え?」


「ただのルームメイトでした。

この子も同じ施設で育ったので。


……………ねぇ、藍子。

なんで彼女だって嘘をつくの?

愛翔くん、ずっと困ってるよ。

謝罪までしたんだよ。

本気で好きならさ、なんで困らせるようなことするの?」


私は藍子に問うけど

藍子は何もしゃべらない。


「……………好きじゃないんでしょ?

藍子は和也が好きだったんじゃないの?

どうして嘘をつくの?

そんなことをしたって

本当の居場所は手に入らない。

もっと素直に生きなよ。

私に対抗ばっかりしてないでさ。」


私は一人で喋り続けた。

マスコミも静かに私の話を聞いてる。



< 988 / 4,523 >

この作品をシェア

pagetop