居場所をください。
「…何してるの?こんなとこで。」
マスコミの中心にいる藍子に話しかけた。
「あ!五十嵐さん!
松野くんの撮影見学ですか!?」
「あ、はい。時間ができたので。
……………藍子はここで何してるの?」
「五十嵐さんは愛翔くんの彼女さんとご友人なんですか!?」
マスコミが話を割ってくる。
「彼女?誰がですか?」
「え?いや、この子が…」
「藍子は彼女じゃないですよ。
愛翔くんも、愛翔くんの事務所も認めていないですし
愛翔くんから直接、彼女じゃないと聞いていますから。
それに、私は藍子の友達ではありません。」
「え?」
「ただのルームメイトでした。
この子も同じ施設で育ったので。
……………ねぇ、藍子。
なんで彼女だって嘘をつくの?
愛翔くん、ずっと困ってるよ。
謝罪までしたんだよ。
本気で好きならさ、なんで困らせるようなことするの?」
私は藍子に問うけど
藍子は何もしゃべらない。
「……………好きじゃないんでしょ?
藍子は和也が好きだったんじゃないの?
どうして嘘をつくの?
そんなことをしたって
本当の居場所は手に入らない。
もっと素直に生きなよ。
私に対抗ばっかりしてないでさ。」
私は一人で喋り続けた。
マスコミも静かに私の話を聞いてる。