居場所をください。
「本当にほしいものは
必死にならなきゃ手に入らない。
人生、そんな甘くないよ。」
「……………うるさいわね。
いじめられてたやつが偉そうなこと言わないで!」
「それ、関係ある?
少なくとも、人の弱味につけこんで
いじめてる人よりはましだと思う。
そういう過去があったから
今の私がいるの。
私は絶対人を傷つける人間にはならない。
……………藍子ももうやめなよ。
藍子がしてること、
愛翔くんに対する嫌がらせにしかなってない。
本当に好きなら好きな人のこと
応援できるでしょ。」
「……………好きじゃないわよ。
あんな男…。
美鈴なんかに偉そうなこと言われたくない!
どうせすぐ消えるくせに!」
藍子は捨て台詞を言って去ってった。
「お騒がせしてすみません。」
私はカメラに頭を下げた。
「何してるの?」
ん?
振り返るとそこには貴也の姿。
「貴也こそどうしたの?」
「テレビで見たから。」
……………テレビ?
「お前これ生だぞ。」
カメラから見えないように耳元でこそっという貴也。
「え!これ生放送なの?」
……………どうしよう。
長曽我部さん絶対来るよ、ここ。
「すみません、お騒がせしました。
貴也、行こ。」
私がそういうと貴也は営業スマイルで
私の手を握って歩き出した。