ヒミツの関係
 まあ…ね。

 そんな気はしてたのよ。

 こうなるだろうな…って、予想ぐらいは出来てたのよ。

 ただね、まさかここまで予想道りになるなんて思わなかった!!



 今、あたしの目の前には神田と仲良さ気に話す男子部員、隣には神田の方を見ようともしない不機嫌そうな佳耶が居た。

 
 「ね、佳耶。
 走りに行こっか。」

 「…うん。」


 もう何度も走った道を2人で走り出す。

 少し行くと、佳耶が口を開いた。


 「なんで十夜がいなくてあいつが居るの!?」

 「十夜朝から居ないよね。」

 「もう、何で明日には帰るって言うのに十夜が居なくなんの!!
 せっかく顔合わせなくてすむって思ってたのに!!」

 「………
 そっか…明日帰るんだよね…」

 「そうだよ!!
 あと少しで終わるっていうのになんで来たんだろ!?」

 「………」

 「…耶奈?」


 突然黙るあたしに、佳耶が息を切らしながら顔を覗いてきた。

 
 「どうしたの?」

 「ううん。」

 
 あたしは笑って首を振った。

 
 「何でもないよ。」

 「そう?
 あ、わかった!
 家に帰りたくないんだ!!
 耶奈には素敵な彼氏が居るもんねぇ~。」

 「もう、そんなんじゃないって!」

 「じゃあ何で昨日の夜帰って来なかったのよ。」

 「ちゃ、ちゃんと帰ったよ!」

 
 そんなことを言い合いながら、あたし達は走ってた。

 佳耶は、あたしが言いたくないことは敏感に察知してくれて、あたしが自分から言い出すまで待っててくれる。

 それに、不機嫌になると手がつけられないけど、一番に人の事を考えてて、さっきみたいに場の雰囲気を明るくしてくれる。

 佳耶のおかげで、だいぶ明るくなったけど、心の中の重いものは取り除けなかった。



 明日になれば、あたし達、もう終わりなんだ。

 もともとこれはゲーム。

 あたしと霞は、ほんとの恋人じゃないんだ…

 霞はあたしの事なんか好きじゃないし、あたしも霞を好きになっちゃいけないんだ。


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