雪降るジンクスの奇跡
そんないつになるかわからない空想を抱いて、ふとカップルとは逆方向に首を向けた。


そして、目線に入ってきたのはひとりの男の人。


グレイのジャケットに黒のデニム、長い脚を組んで怠そうに柵に寄りかかっていた。


寒いからかパーカーをかぶっていたから顔は見えないけど、雰囲気だけでもかなり魅力的な人だと思う。


だってわたしだけではなく、他の女の子たちもチラチラと彼を見てるんだもの。


この人もひとりできたのかな?


…そんな訳ないか。


きっと彼女とはぐれちゃったんだろうな。


そんなことを思っていると、空から小さな白い結晶が舞ってきた。


「あっ、雪…」


雪が降ったときにイルミネーションを見たカップルは永遠に一緒にいられるーーー


相手がいないのに、ジンクスの条件が揃ってしまったなと軽く苦笑いが出てしまった。
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