雪降るジンクスの奇跡
友達に事情を説明してイベンターさんに手袋の落とし物を届ける。


「さっ、一旦ホテル帰ってお風呂入ってからごはん行こう!」


「賛成!まさか雪降ると思わなかったからね。さむーい!唯、なにしてんの?早く行こうよ!」



なんとなく、後ろ髪を引かれるような気持ちになった。


届けた手袋は彼の元に戻るのだろうか。


もう2度と会うことはないから、


わたしにはそれを知る術なんてないけれど。


それに、きっと片方の手袋がなくたって彼と手を繋ぐ誰かがいるだろうから、


彼の手はきっと寒くはないはず。


「うん!ちょっと待って」


急いで友達の元に駆け足で戻りみんなでくっつきながら空から降る雪を見つめた。
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