雪降るジンクスの奇跡
「あのとき確かライブ途中で雪が降ってきて寒かったよね」


「あっ、それ覚えてる。俺はライブ興味なかったからひとりで後ろの方で見てたから、寒くて早くライブ終わらないかなぁって思ってた」


あのときはもちろん哲くんとまだ付き合う前だけど、一緒にイルミネーション見れて雪も降って、


少しはジンクスの効力があるかな?


「そういえばあのとき手袋落としてさ。気に入ってたやつだからかなりへこんだな」


えっ、手袋?うそ…


もしかして…


「手袋って、黒のレザーのやつで手首のとこがチェック柄の…?」


わたしがそう尋ねると哲くんは目を見開いた。


「なんで唯が俺の手袋、知ってるの?」


「わたしも後ろの方で見ていて隣にいた男の人が手袋落としてたの。気付いたときにはその人もうその場にいなくて…」


まさか、あの手袋は哲くんの手袋?


あの男の人は哲くんだったの?

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