未来が見えない『Previously invisible』
③ 動き出す

✜✜ 匠


≡ 姉さんが病院に運ばれた翌朝 ≡

俺は、由依さんのお陰で眠ることが
できた。
院長夫人は、月紫に朝食を取らせて
簡単なおにぎりとお茶を
もって病室に来てくれた。

月紫は、
「ママっ、おはよう。
たっくん、おはよう。
あっ、ほのかママ!おはよう。」
と、由依さんに抱きついた。

「月紫、おはよう。」と、匠。

由依さんは、月紫を抱き締め返して
「月紫、おはよう。」
と、言った。

すると、院長夫人が
「ああ、貴方が真君のお嫁さんの
由依さんね。
今朝、真君から電話がありました。
なんでも、言ってね。
あなたも、真君の仕事の関係で
忙しいでしょうから。」

「はじめまして、由依と申します。
昨夜は、月紫が大変お世話になりました。
それに、琴音を‥‥‥」

「大丈夫よ。
長丁場になるやもしれませんから
お互いに助けあって行きましょう。
私の携帯を登録して
私もするから。」

「‥‥はい、ありがとうございます。
今から、月紫を連れて
娘のほのかと幼稚園に行きます。
琴音の物で必要な物がありましたら
知らせて下さい。」
と、言って、
二人で連絡先を交換した。

俺は、
「由依さん、昨夜寝てないでしょ。
ゆっくりしてください。
由依さんが倒れたら
御主人に叱られます。
でも、院長夫人と知りあいなんですね。」

「大丈夫だよ、たっくん。
琴音は、もっともっと、痛いんだから。
あっ、うん、渡瀬さんの息子さんと
旦那が同級生で、仲良しなの。
結婚式にも、来てくれたの。
旦那は、渡瀬夫妻に可愛がって
もらってた、と言ってたわ。」
と、言った。

「そうね。
真君と蓮君は、息子と大の仲良しで
いつも、三人でつるんでいたわね。
クスッなんか、不思議ね。
琴音さんのお陰で、
久しぶりに真君、蓮君の
声聞けたわ。」
と、言うから

「えっ、蓮さんからもですか?」
院長夫人が、何かいいかけたとき
院長と外科の金井先生と師長が
病室に入ってきて
話しは中断した。

難しい話が始まったから
由依さんは、月紫を連れて
家に帰って行った。
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