未来が見えない『Previously invisible』

✜✜ 親じゃない

書類を確認して、乾先生は、
「ありがとうございます。
それでは、最後に
これをお願いします。」
と、言って、出した書類は
五十嵐　琴音
五十嵐　月紫
五十嵐　匠
こちらの三方には今後、
いっさいの接近を禁ずる。
と、いうものだった。

「「私は、琴音の父親なんだぞ！
私は、母親で、月紫の面倒も
見ないといけないのよ。」」
と、五十嵐夫妻は叫んだが

匠さんが
「なにが、父親？母親？なんだよ！！
姉さんは、何度も助けを求めたのに
奴の口車に乗って
助けもしなかったじゃないか

その上、あんなに嫌がっていたのに
自分達の私利私欲のためだけに
政略結婚させて。
知ってるか？あいつには、姉さんと
結婚する前から、付き合っている女が
いるんだよ。８年も。

あいつが家に帰るのは、
多分、姉さんを殴るだけ
気がすむと女のとこに行っていて、
殆ど家にいなかったんだよ。
まあ、姉さんは奴が
いないと、ホッと
していたみたいだが。

気の小さいあいつは、
姉さんと結婚したくなかったが
言えなかった。
姉さんは、全て知っていたが
我慢していた。

あんたら二人に
二度と助けは求めない、
助けを求めても無駄だから
と、言ってたよ。

いらない情報は、
興信所やら探偵やらに
調べさせるくせに
身内に甘いんだよな。

うんざりなんだよ。
あんたら、見てきて。
そんな世界が嫌だから
俺は、好きな医者の道を選んだんだ。

姉さんにも月紫にも
二度と近づくな！！
あいつも、もちろんだが
あいつは、しばらくは、
出てこないだろうが。

あっ、姉さんと奴の家は、
売却する。
奴のものは、全て破棄する。」
と、言った。

秋山夫妻は、
【　息子は逮捕！　】
で、どうしていいのか
わからなかった。

五十嵐夫妻は、
【　自分達のせいで二人の子供を失う？　】

やはり、あのとき
きちんと、確認していたら
きちんと、聞いていたら
後悔しても、悔やんでも
どうにもならなかった。