未来が見えない『Previously invisible』

✜✜ 俺は捨てられた


「琴音が、
  自分の命より大切にしていた人?」

「はい。姉は、秋山との結婚を
嫌がっていたんです。

だが、両親は聞き入れず
話を勝手に進められて

奴からは脅されて
あきらめて結婚したんです。

姉は、心にもないことを
言って大好きだった人と
別れてきたと
泣いていました。

姉は
それから·····笑わなくなり‥‥‥

姉は‥‥日だまりみたいな
優しい人なんです。

俺は、その人と
逃げるように何度も言いました。

だが、姉はその人の未来を
壊したくないと
言ってました。

あの男に
親の言う通りにしないと、
弟の俺の将来も
姉の彼氏の将来も潰すと
脅されたんです。

姉は、
いつきっ‥ごめんね、ごめんね
って泣いていたんです。

今、知ったからとその人に
何かしてほしい訳では
ありません。
ただ······姉に·····
合わせてあげたいだけなんです。」
と、匠

だから・・・俺は‥‥

「あの日、琴音に
プロポーズをするつもりだった。

なのに琴音は、
私、結婚するの
代議士は、代議士同士が、いいでしょ
私が、モデル風情を相手に
するとでも。
と、言って立ち去ったんだ。
俺は、冗談だろ?嘘だろ?
って、何度も聞いたが
琴音は、さよなら
と、言ったんだ。

俺はっ‥‥俺はっ‥‥
あの時······琴音に捨てられたと、
思って荒れまくり
仕事にも穴をあけて
蓮に殴られて
海外へ修行にでたんだ。

その蓮から連絡があって
帰ってみると‥‥‥

  何なんだ、これは!!」

「えっ、では‥‥あなたが‥いつきさん?」
「ああ、渡瀬 樹だ。
ITSUKIの名で、モデルをしている。」

「そうですか?あなたが・・
院長の息子さんの・・・

だから、姉はしばらく由依さんとも
音信不通だったのですね。
ご主人と樹さんが、友達だから。
それに、由依さんにも
DVの事も話してなかったんです。

言えば、幸せに暮らしていると
思っている貴方の耳にも入ると
思って。
凪さんには、職場で見つかったそうです。
だが、凪さんと蓮さんが
夫婦なのは、姉は知らなかったようです。」

「由依ちゃんと、音信不通?」
「はい、たしか、2年程
妊娠して産婦人科で、
再会したみたいです。」
と、言った。
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