未来が見えない『Previously invisible』
✜✜ 本当に
「琴音は、幸せな時期はあったのか?」
と、樹さん。
「そうですね。
幸せに思っていたかわかりませんが、
初めの二、三ヶ月は、
何もなかったと思います。
だけど、
あの男には、姉さんと結婚する前から
付き合っていた女がいて
その女とずっと続いています。
結婚してからも、週のほとんどは
その女のとこでした。
あいつは、姉さんでストレスを
発散して、女のとこに毎日通って
いたんです。
姉さんは、その事を知っていました。」
「はぁ?なんだと?
琴音の他に女?
琴音は、知っていた?」
「はい。あいつが、
その女と一緒になりたいと、
勇気をだして言えば
良かったんだ。
そしたら
姉さんが傷つくことはなかったのに。
小さい奴だから·····
姉さんは樹さんと別れずに
あんなに、苦しまずに
辛い想いもせずに·····済んだのに」
「バカな?なぜ、あいつは?
なぜ、琴音は知っていて、
別れなかった?」
「政略結婚なんて
そんなものでしょ。
それに、樹さんを失った姉は
全てが、« 無 »だったんです。
まあ、それも奴には
癪に触ったみたいですが。」
と、言った。
俺は、ただ、包帯を顔中に巻かれ
ベットの上に横たわった人を
見ていた。
琴音とは、判別できないが
これが、あの琴音か?
はにかみながら、俺を見ていた
琴音なのか?
「ITSUKIは、皆のだけど。
樹は、私だけのもの。」
だと、照れながら言ってた
琴音か?
俺は、
「邪魔して悪かった。」
と、言って病室をでた。