私の途絶えた記憶の中で

「ん?携帯だよ。
あ、そっか、ちはるは知らないんだね。」

馬鹿にするような言い方で挑発してきた爽真。

「それくらい知ってるよ!高いのによく買えたね!」

私は嫌味たっぷりに言ってやった。

爽真は親の反対を押し切って始めたバイトで稼いだお金をこのために貯めていたらしい。

ってあれ

なんでこんな爽真のこと知ってるんだろう。

勝手に思い出される。

「はい!特製とんこつラーメンふたつ!
おまちどう!」

そういって店長らしき人が運んできたのは
この店のおすすめ(らしい)の特製とんこつラーメン。

「うまそー!いただきます!」

爽真はそう言うと、よほどお腹がすいていたのかラーメンを勢いよくすすりだした。

私の方は、やはり食べる気にはならず
箸が進まなかった。
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