私の途絶えた記憶の中で

本当に、私が設計したんだ……。

なんだか、不思議な感じ。

そんな記憶、全くないのに、

信じてしまう。

そろそろ、本当のことを教えてもらいたい。


その時。


私は、頭の中で一瞬、何かを思い出した。

「私と爽真の他に誰か、あと一人。」

私は思ったことを口に出していた。

「うん。住んでるよ。」

爽真は懐かしそうな、嬉しそうな顔をした。

「その人……、その人は?会いたい……」

なぜか涙が溢れる。

どうして?

私、誰を思い出したの?

「ずっと頑張ってるよ。だから会えない。」

爽真はそう呟いた。

「俺も、会いたい。」

泣きそうな顔だった。

ううん、爽真は泣いてた。

私は何も言うことができず、爽真の背中をさすった。
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