私の途絶えた記憶の中で
ザァッ……

心地よい風が頬を撫ぜる。

目を開けるとそこには、登下校の時に横を通るソガミ川があった。

「ちはる。」

あ、まただ。

「爽真。」

振り返ってみると、爽真がいた。

「ねぇ。どうして私、病院にいたんだろう。」

爽真はその言葉を聞いた途端、悲しそうな表情を浮かべ、こう言った。

「俺が悪いんだ。」

「爽真が悪い……?」

「俺が……、お前を……。……いや、何でもない。ほら、あそこ。座って話そうぜ。」

どうして?皆、何を隠してるの?

私だけ、わかっていないことが1つある。

皆がわかっていて、私だけがわかっていないこと。

ねぇ。教えてよ。
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