わたしは元婚約者の弟に恋をしました
「そうだね。元気だった?」
「元気。早速だけど、聞きたいことがあるの。いい?」
彼は相槌を打った。
勘違いなら、ごめんねと言い電話を切ってしまえばいい。
「わたしが館川さんの家に行こうとしたとき、両親以外にも誰かに会わせたいと言っていたよね。それって誰なの?」
電話口から驚きの声が聞こえた。きっと彼は困っているだろう。終わった関係の女にこんなことを聞かれるなんて。その関係があまり大口では言えないのなら、尚更だ。
「何でそんなことを急に」
「お願い。教えてほしいの」
「弟だよ」
長い沈黙が流れたあと、苦しげな声が聞こえた。
「父さんが他の人との間に作った子供で家族としてのつながりはないんだけど、俺はたまに会っているんだ。弟だと思っているよ」
心臓が高鳴るのが分かった。実は両親が離婚していてその弟なのではないかと思っていた。だが、突きつけられた現実もまた驚きに満ちたものだった。
「弟さんは何をしているの? 学生?」
名前を聞こうとして、それはやめた。それとなく自然に会話を振った。
「財務関係の仕事。昔から頭がいいやつだったからね」
「元気。早速だけど、聞きたいことがあるの。いい?」
彼は相槌を打った。
勘違いなら、ごめんねと言い電話を切ってしまえばいい。
「わたしが館川さんの家に行こうとしたとき、両親以外にも誰かに会わせたいと言っていたよね。それって誰なの?」
電話口から驚きの声が聞こえた。きっと彼は困っているだろう。終わった関係の女にこんなことを聞かれるなんて。その関係があまり大口では言えないのなら、尚更だ。
「何でそんなことを急に」
「お願い。教えてほしいの」
「弟だよ」
長い沈黙が流れたあと、苦しげな声が聞こえた。
「父さんが他の人との間に作った子供で家族としてのつながりはないんだけど、俺はたまに会っているんだ。弟だと思っているよ」
心臓が高鳴るのが分かった。実は両親が離婚していてその弟なのではないかと思っていた。だが、突きつけられた現実もまた驚きに満ちたものだった。
「弟さんは何をしているの? 学生?」
名前を聞こうとして、それはやめた。それとなく自然に会話を振った。
「財務関係の仕事。昔から頭がいいやつだったからね」