わたしは元婚約者の弟に恋をしました
「どこか座れるところでも探そうか。これだったら俺も車を出せばよかったね」
「仕方ないよね。こういうところだと」
わたしたちはゆっくりできる場所を探すことにした。場合によってはここから少し離れた場所になるかもしれない。だが、花火大会まで一時間あることを考えると、十分な時間だ。
わたしたちは視線を走らせ、人気のない場所を探していた。
その人ごみの中に、見覚えのある人がいた。その隣にいたのは、案の定あの女性だ。心臓が高鳴った。だが、それは一年ほど前に感じていたものとは全く違っていた。まるで体を飲み込んでしまうかのような、物々しい、大きな震え。わたしは唇を噛みしめた。
「雄太」
わたしは彼の名前を呼んだ。
その短い間に、彼とわたしの距離が思いのほか縮まっていたのか、彼自身がわたしの姿を視界にとらえたのかは分からなかった。
雄太が顔を引きつらせた。
わたしは思わず聖を見た。彼は人ごみに気を取られて、わたしが雄太に気付いたとは察していないようだ。
だが、問題は雄太だ。
彼は隣にいる聖を見たのか顔を強張らせた。
わたしに新しい恋人がいることを驚いているというわけではなかったと思う。
「仕方ないよね。こういうところだと」
わたしたちはゆっくりできる場所を探すことにした。場合によってはここから少し離れた場所になるかもしれない。だが、花火大会まで一時間あることを考えると、十分な時間だ。
わたしたちは視線を走らせ、人気のない場所を探していた。
その人ごみの中に、見覚えのある人がいた。その隣にいたのは、案の定あの女性だ。心臓が高鳴った。だが、それは一年ほど前に感じていたものとは全く違っていた。まるで体を飲み込んでしまうかのような、物々しい、大きな震え。わたしは唇を噛みしめた。
「雄太」
わたしは彼の名前を呼んだ。
その短い間に、彼とわたしの距離が思いのほか縮まっていたのか、彼自身がわたしの姿を視界にとらえたのかは分からなかった。
雄太が顔を引きつらせた。
わたしは思わず聖を見た。彼は人ごみに気を取られて、わたしが雄太に気付いたとは察していないようだ。
だが、問題は雄太だ。
彼は隣にいる聖を見たのか顔を強張らせた。
わたしに新しい恋人がいることを驚いているというわけではなかったと思う。