わたしは元婚約者の弟に恋をしました
わたしは舞香の言葉に、彼女は少なくとも亜津子たちとの付き合い方を分かっていたのだと気づいた。わたしもそうすべきだったのかもしれない。
今でも雄太のことを話題に出されるなんて嫌すぎるから。
わたしたちはお店を出るとそれぞれの家に帰ることにした。ちょうど位置的にわたしが一人で帰ることになった。家に歩きかけたわたしを舞香が呼び止めた。
「たまには一緒に帰ろうか。買い物したいんだ」
「いいよ。結婚おめでとう」
「ありがとう」
彼女は本屋に行くようだ。彼女の家の近くにはかなり大型の書店がある。
わたしがその理由を問うと、舞香は肩をすくめた。
「あの二人とは一緒に帰れないでしょう。あれからずっとわたしを冷やかな目で見ていたもの」
「そうだね」
「まさかこんな地味な女に先を越されるとは思わなかったんだろうね」
舞香はくすりと笑った。
「そんなこと」
「ほのかがそう思っていないのは分かるよ。でも、あの二人はそうじゃなかったと思う」
そうなのかもしれない。彼女たちの口にしたお祝いの言葉はあまりに心のこもっていないものだった。
そのとき、わたしの体に影がかかり、ふっと振り返る。理由は聖と同じくらいの背丈の人がいたからだ。
聖がいるわけもないのに。そもそも聖とわたしは恋人を奪われたあの日以前に会うことがなかったのだ。そうやすやすと会うわけがない。分かっているのに、聖に似た人影を見ただけで反応してしまっていた。
聖はわたしと別れてから一切連絡を取らなかった。
今でも雄太のことを話題に出されるなんて嫌すぎるから。
わたしたちはお店を出るとそれぞれの家に帰ることにした。ちょうど位置的にわたしが一人で帰ることになった。家に歩きかけたわたしを舞香が呼び止めた。
「たまには一緒に帰ろうか。買い物したいんだ」
「いいよ。結婚おめでとう」
「ありがとう」
彼女は本屋に行くようだ。彼女の家の近くにはかなり大型の書店がある。
わたしがその理由を問うと、舞香は肩をすくめた。
「あの二人とは一緒に帰れないでしょう。あれからずっとわたしを冷やかな目で見ていたもの」
「そうだね」
「まさかこんな地味な女に先を越されるとは思わなかったんだろうね」
舞香はくすりと笑った。
「そんなこと」
「ほのかがそう思っていないのは分かるよ。でも、あの二人はそうじゃなかったと思う」
そうなのかもしれない。彼女たちの口にしたお祝いの言葉はあまりに心のこもっていないものだった。
そのとき、わたしの体に影がかかり、ふっと振り返る。理由は聖と同じくらいの背丈の人がいたからだ。
聖がいるわけもないのに。そもそも聖とわたしは恋人を奪われたあの日以前に会うことがなかったのだ。そうやすやすと会うわけがない。分かっているのに、聖に似た人影を見ただけで反応してしまっていた。
聖はわたしと別れてから一切連絡を取らなかった。