わたしは元婚約者の弟に恋をしました
 彼があそこで働いていることは分かっているが、わたしも近寄らないようにしていた。

 仁美にも別れたことは伝えていた。彼女は驚き、一度理由を聞いてきた。だが、わたしが言葉を濁したことでそれ以上追及してくることはなかった。

 それから、仁美も気遣ってくれているのか、暖かい時期になってもあの公園で昼食を食べることはなかった。どこかで暗黙の禁止事項と化していたのかもしれない。

 様々な気持ちが入りみだり、普通に接することはとても難しかった。

 隣を歩いていた舞香が優しく笑った。

「岡本君かと思った? でも、第三者と彼を間違うのはまだまだだよね」

 わたしは思わず舞香を凝視していた。

「知っていたの?」

「知っていたというか、岡本君とほのかを引き合わせようとしたのはわたしだから」

「引き合わせる?」

 わたしは意味が分からず、問いかけていた。
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