わたしは元婚約者の弟に恋をしました
「だから、あなたのお兄さんに許してもらえた時は、もう一度わたしと付き合ってください」

 わたしは精一杯の笑みで彼にそう提案した。

 わたしの言葉に、聖はわたしの手をそっと握り、「はい」と答えてくれた。

「今から雄太に連絡を取ってみるよ」

「そんなにすぐに?」

「これ以上あと伸ばしにするのは避けたいの。ずるずるとごまかし続けたら、きっとわたしと聖にとってもよくないでしょう」

 彼はわたしの提案に困惑しながらも同意してくれた。

 わたしは携帯を取りだし、雄太の番号に電話をした。すぐに低い声が聞こえてきた。

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