わたしは元婚約者の弟に恋をしました
「そうなの? わたし、てっきりお店を手放したとばかり思ってた」
「もともと祖父母の持っている土地だったから、急いで手放す必要はなかったんだよ。相続のこととか、いろいろあったけど。昔に比べて開いている時間は短いのに、客の入りも多くて、少し複雑な気分だけどね」
「そのお店に行ってみたいな。岡本さんはそこに住んでいるの?」
「家と店は別だよ」
わたしには単純に興味があったのだ。その彼の祖父母が営んでいたお店に。
「ほのかさんは平日の昼は仕事?」
わたしは頷いた。
「昼間しか空いていないので、今度休みの日に案内するよ。日曜日は開いてるので、日曜日にでも」
約束してからデートみたいだと考えてしまった。そんな心を戒めた。
ただ、行きたいと言ってくれたから案内してくれているのだ、と。
今まで雄太との約束で埋まっていた日曜日に別の約束が埋まり、ほっと胸をなでおろした。きっとわたしの日曜日は、これから別の予定で埋まっていくのだろう。
「ねえ、ここってやっぱりすごいね」
和んだはずの心が、本当なら聞き逃してしまいそうな声にドキッとした。
忘れるわけがない。わたしと雄太との関係が変わった声だったから。
わたしの目が勝手に彼女たちを探していた。そして、わたしは人並みの中に見つけてしまった。彼とその隣にいるのはあの女の人だ。
「もともと祖父母の持っている土地だったから、急いで手放す必要はなかったんだよ。相続のこととか、いろいろあったけど。昔に比べて開いている時間は短いのに、客の入りも多くて、少し複雑な気分だけどね」
「そのお店に行ってみたいな。岡本さんはそこに住んでいるの?」
「家と店は別だよ」
わたしには単純に興味があったのだ。その彼の祖父母が営んでいたお店に。
「ほのかさんは平日の昼は仕事?」
わたしは頷いた。
「昼間しか空いていないので、今度休みの日に案内するよ。日曜日は開いてるので、日曜日にでも」
約束してからデートみたいだと考えてしまった。そんな心を戒めた。
ただ、行きたいと言ってくれたから案内してくれているのだ、と。
今まで雄太との約束で埋まっていた日曜日に別の約束が埋まり、ほっと胸をなでおろした。きっとわたしの日曜日は、これから別の予定で埋まっていくのだろう。
「ねえ、ここってやっぱりすごいね」
和んだはずの心が、本当なら聞き逃してしまいそうな声にドキッとした。
忘れるわけがない。わたしと雄太との関係が変わった声だったから。
わたしの目が勝手に彼女たちを探していた。そして、わたしは人並みの中に見つけてしまった。彼とその隣にいるのはあの女の人だ。