さよなら君と僕の世界
猫は逃げるそぶりもなくこちらをじっと見つめていた。

私はそっとその猫のそばに腰を下ろした。

よくみると赤い首輪をつけているのがわかった。

「君にはちゃんと帰る場所があるんだね」

猫はゆっくりとひざを抱えて座っている私のもとへ近づいて撫でてほしそうに頭を差し出した。

そっと手を伸ばして頭を撫でると目を閉じて嬉しそうににゃあーと鳴いた。
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