運命の少女と悪魔の少年の学園物語
バスから降りる。
俺は彼女の後ろにいる。こいつはショートへアーだが、楽しみにしているのか髪の毛がわずかに揺れている。

…分かりやすいやつだなこいつは。


俺が最後にバスから降りると、感じたことのある嫌な視線が感じる。




……女だ

《キャァァァォァァ!!!!》
《藍井湊太様よぉぉ!!》

響き渡る女の声。近寄ってくるケバい女。


何で、俺がわかる…?

「藍井くん?!」

神鳥さんが話しかけてきた。
ちょっとヤバイ雰囲気だな…

「え、何?」
「君は何者?」
「何者でもないけど。」

俺はただの健全な男子高校生だ。

「じゃああいつらのでけー声は何?!」
「…さぁ?…」

俺だって好きで騒がれてる訳ではない。だから清楚な見た目にしてきたのに。


ケバく、わざとらしく声を変えてる女が話しかけてきた。

「藍井湊太様~…」
「私目が…」

うざい。うるさい。なのに俺は

「ありがとう。」
「お願いしていい?」

なんて思ってもないことを口にする。

………俺は臆病者かよ…

こいつらが嫌いなのにきつく「あっち行け」なんてことも言えない。

「楽しんでね」
「ありがとうございます。」

隣では神鳥さんとギャル先輩が話していた。

あいつ、ギャル先輩に対してちゃんとあいさつしてる…

「それと…」

ギャル先輩が続ける。

俺は気になって耳をたてた。


「金輪際近づかないでくださいね?」




………は?

バカじゃないのこいつ。
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