太陽の君、月である僕。
プロローグ
俺にとって音楽とは、なくてはならないものだ。

歌うことは好きだし、俺にとって気持ちを伝える術だった。

『生きる存在の証明』とでも言おうか。それぐらい、音楽は俺の人生の大半を占めている。

けれど、いつからだろう。


気付いたら、心の底から笑えなくなっていた。
花を見ても美しいと思わない。空を見ても、海を見ても。何も感じない。どうでもよくさえ思える。

心が凍った。まさにそれだった。理由はよく分からない。

ありとあらゆる感情の機能がまともに働かなくなってからというもの、俺は…

声が出なくなっていた。
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