なんらかんら
月の光に朧に見える夜桜、まだ夜風が肌に刺さるこの時期。
私はこの桜道が好きで少し遠回りだけど桜の時期は必ず通ります。寒いけど夜桜も良いものです。
今日は残業で帰りが遅くなってしまいました。
私は住んでいるアパートに着き、二人一緒に歩けない程の狭い階段を上がり部屋の扉を見たら、女性が扉にもたれ倒れていました。私は急いで女性の所へ行き、女性の肩を叩き声をかけようとしたら、酔っぱらって寝ている事に気がつきました。
多分、この女性は私の部屋の隣の隣に住んでいる人だと思います。さすがにこのままにしとくのも気が引けます。かといって女性の荷物をあさり鍵みつけ部屋に入れるのも、それにこの女性がこのアパートに住んでいるという確信もありません。
私は思いきって決心をしました。
自分の部屋へ入れようと。
私の部屋に女性が入るのは母以外で初めてです。
女性を抱きかかえて部屋に入りベッドに寝かせてあげると女性は。
いきなり服を脱ぎ下着姿に。私は目のやり場に困りました。でも、すぐに布団に潜り込み静かに寝息をたて寝てしまいました。
私は物事を終え、時々友人達と行くキャンプに使う寝袋を引っ張りだし床に広げ私も眠りにつきます。
翌朝、私が朝食を作っていると女性がムクッと起きたのです。私の顔を見るなり「あんた誰」と言い、ここどこだのと騒ぎ始め、私は必死に説明をしました。私の酷い吃りの説明に女性は大笑いをしながら目に涙を溜めうんうんと言いながら頷き続けました。
最後にありがとうと言ってくれて私はひと安心。
朝食はトーストにハムエッグ、サラダにコーヒー。彼女分も一緒に作り、出してあげると。
彼女は私の分?いいの?すげー、ファミレスみたい、だのと笑いながら言いました。
私も一人暮らしは長いので料理もそこそこ作れます。
二人で朝食を食べてる間、彼女は喋り続けそして笑い続けました。
驚くことに彼女はいわゆるギャル。派手な服装に派手なメイク。
私には無縁の人種と思っていたのですが、こんな非日常な出来事で知り合うとは想像していませんでした。
彼女は朝食を食べ終わってから一言ありがとうと笑顔で言って部屋帰って行きました。
彼女は良く喋り、良く笑う人で好印象な方でした。
出会いというものに面白さと不思議さを感じる今日この頃です。
< 2 / 3 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop