君色の音と私の恋



自分の些細な不平不満は、拳を振り上げて主張する。



私も含めて、人間なんて結局自己中で駄目な生き物。



さっきまでの幸せも色褪せて、また今日も、ただ時間が経過するのを待つだけの日々が始まる。





電車を降りて学校に向かう途中、同じクラスの女子が私を待ち構えてたみたいに話しかけてきた。



「ちょっといい?」



その声に、背筋がピリッとするような嫌な予感がした。



良いも、悪いも返事していないのに、道路脇の駐車場に連れて行かれた。



「そのストラップ、渡しなさい」



5対1で詰め寄られる。



つるまなきゃ、何もできないバカ女。



心の中で毒づきながらも焦ってる。



「何で?」



平常心を保って出た言葉は、少し震えている。



「は?何でって、図々しい子ね!あんたみたいな地味子に、間瀬くんのストラップなんか似合わないから、渡しなさいって言ってんの!!」



副リーダー格の清香(きよか)が腕組みして私を睨んだ後、夏菜(かな)に振り返った。



< 10 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop