君色の音と私の恋
そんなある日の夕方、家のインターホンが鳴ったのでドアを開けると、間瀬君が立っていた。
私の顔を見た間瀬君は、ちょっと悲しそうな顔をした後、
「ごめん」
そう言って、頭を下げた。
間瀬君に謝られる理由が見つからなくて「何のこと?」って聞くと、
「これ」
そう言って、間瀬君は夏菜に取られたストラップを私に向かって差し出した。
「俺が余計なことをしたから、佐藤さんに嫌な思いをさせた。本当にごめん」
もう一度、深く頭を下げる間瀬君。
夕日に照らされた茶色の髪がさらりと落ちて、綺麗だと思った。
「間瀬君が謝らないで。私、嬉しかったから」
嬉しいって単語に、間瀬君は顔を上げて不思議そうな顔をした。
「間瀬君にストラップ貰った時、本当に嬉しかった。間瀬君が私にくれた感情は喜びだけ。だから謝らないで。私はずっと、ありがとうって伝えたかった」
間瀬君の前だと心が穏やかになる。
優しい言葉が自然に生まれる。
間瀬君は、そんな私に最高の笑顔をくれた。