君色の音と私の恋
家にCDプレーヤがないから、パソコンで聴く。
最初に聞こえたのは、流れるようなクラシカルで静かなピアノの音。
凪いだ水面にさざ波が立ち、その波が徐々に大きくなって荒れ狂う。
襲いかかってくるみたいに全身に打ち付ける波。
その波を潜り抜けた先に広がる景色。
雲の隙間から差し込む光と、広がる大海。
晴天には程遠いけど、少しだけ見えた希望の光。
CDについてた歌詞と睨めっこしながら歌を聞いてると、最後のページに手書きの文字を見つけた。
『何回だって迎えに行く 間瀬竜也』
頬を暖かいものが伝う。ポロポロと零れる涙は、凍えていた心を溶かしてく。
ずっと気づかなかったけど、私、寂しかったんだ。
誰かに縋りつきたいくらいに、孤独だったんだ。