君色の音と私の恋
耳
次の日、いやがらせしてくるだろうって思ってた夏菜とその取り巻きは、私を無視はするものの、もう接触して来なかった。
けど突き刺さるような女子の視線や、女子に遠慮して無言を貫く男子たちに、居心地の悪さを感じる。
勇気を出してきたけど、やっぱり学校なんか来なきゃよかった。
つい昨日、頑張ろうって決意した心が折れそうになった時、
「佐藤さん、おはよう」
何事もなかったみたいな明るい声で、間瀬君が話しかけてきた。
昨日と変わらない、澄んだ笑顔にホッとする。
「おはよう」
そう答えると、間瀬君は私の隣に座りながら、キラキラした目を私に向けた。
「CDどうだった?」
「すごく良かった」
素直な感想を答えると、間瀬君は「よっしゃ」って小さくガッツポーズをした。
「気に入ってくれてよかった。本当はさ。迷惑がられたらどうしよう?って不安だったんだ」