君色の音と私の恋
電車で1つ隣の駅にある携帯ショップに行くと、
「お客様の携帯電話は保険に加入しておられるため、無料で同機種の新品と交換が可能です」
ショップ店員さんが、機械みたいな事務的な口調で言った。
それから大して時間がかかることなく、データ移行された真新しいスマホを受け取った。
あっけなくて気が抜ける。
壊れたときには、この世の終わりみたいな絶望の淵にいたのに。
今は傷ひとつないスマホと、隣には間瀬君がいて。
「俺があげたストラップ、つけてくれる?」
間瀬君の質問に、恥ずかしくて目を伏せながら頷いた。
2人で通りを歩いて視界の先に駅が見えた。
もうお別れしなきゃって寂しく思った時、
「お腹空かない?」
間瀬君が言った。
本当は隣に間瀬君がいるっていうだけで胸がいっぱいで、お腹なんて空いてなかったけど、もう少しだけ一緒にいたくて「うん」って頷いた。