君色の音と私の恋
間瀬君の少し長い髪が揺れるたびに、チラチラと見えるピアスもピアスの穴もない綺麗な耳たぶにドキッとする。
髪を茶色く染めていて、制服だっていつもボタンを外して着崩していて、見るからにチャラいのに。
「意外」
目が間瀬君の耳たぶに釘付けになる。
突然の私の言葉に「どうしたの?」って目を丸くする間瀬君。
私は思ったままを口にする。
「間瀬君の友達はみんなピアスをしてるのに、間瀬君はピアスをしてないんだね」
「あぁ。ピアス、あった方が好き?」
間瀬君の言葉に、ぶんぶんと首を横に振る。
「ううん、逆。ピアスない方が好き」
男らしい喉ぼとけがある首から耳たぶまでのラインが、やけに色っぽくてドキッとする。
「今、気づいた」
間瀬君は私の言葉に「ん?」って顔をする。
「私、『ピアスのない耳たぶフェチ』だったんだ」
納得したように言い切る。
「耳たぶフェチって。なに、それ?初めて聞いた。佐藤さんって、本当に面白いね」
間瀬君はクスクスと笑った後、ふと真面目な顔をして言った。
「将来、音にかかわる仕事がしたいからね。耳は大事にしてるんだ」
揺るぎない強い眼差し。その眼差しが、私の心に焼き印を押すみたいに焼き付いて、なぜか胸が痛かった。