君色の音と私の恋
「辛いの好きなの?」
そう聞くと、「あー、まぁ」なんて返事を濁す。
いつもはっきりものを言う間瀬君が、珍しいな。って思ったら、目の前に運ばれたカレーをジッと見た後、決意したようにカレーを掬って口に入れた。
カレーを食べた間瀬君の目が潤んで、額から汗がにじんでる。
「どうしたの?」
「佐藤さんの前だからって、カッコつけるんじゃなかった」
急に間瀬君がつらそうな顔をしたから心配してると、間瀬君は照れたように頭を掻いた。
「俺、本当は辛いの苦手なんだ」
「辛いのに、辛口頼んだの?」
間瀬君の言動が全く理解できなくて、首をかしげる。
間瀬君は観念したように告白した。
昨日から無性にカレーが食べたくて、つい「カレーが食べたい」なんて言っちゃったけど、いざ2人で店に入って、女の子の目の前で甘口を頼むのはかっこ悪いと思ったらしい。
「せめて中辛にすればよかった!」
2杯目の水を飲みほして、涙目の間瀬君。