君色の音と私の恋

ヘッドホン




夢を見つけた日から、テレビや雑誌に出る芸能人の髪形を注意して観察するようになった。



今まで1度も買わなかったファッション誌やヘアカタログを買ったり、インターネットで髪のアレンジ方法をアップしてる動画を見つけては、自分の髪の毛で練習した。






「間瀬君と仲良いからって、地味子が生意気に色気づいてんじゃねーよ」



「髪形変えても顔は変わんねーんだよ、ブス」



毎日違ったアレンジをして登校する私を、間瀬君が見てないところで夏菜たちが嫌味を言ってくることはあったけど、胸は1ミリも痛まなかった。



大切な人がいて、夢がある。



それだけで幸せだって知ったから。





学活が終わって、校門を出て家に帰ろうとして気づく。



「雑誌、忘れた」



今朝、コンビニで買ったばかりのファッション誌を教室に忘れてしまった。



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