君色の音と私の恋
沈黙に包まれる空間。
男子たちはヤベッて顔して、互いの顔を見回してる。
「痛いじゃない!」
そう怒鳴ろうとしたとき、ひとりの男子が私の元までやって来た。
「ごめん」
申し訳なさそうに謝る男の子。
日の光に透けて金髪にも見えるくらい茶色い髪と、茶色い目。
女の私がうらやましくなるくらい、小さな顔。
ちょっと伏せた瞼を縁取る、長いまつげ。
落ち込んだその顔に、不覚にもキュンとしてしまった。
文句を言うのも忘れてポカンと口を開けたまま黙り込む私に、彼はお詫びだと言って、ポケットからガムを出して私に差し出した。
「スース―するの嫌いだから」
細く長い指と、思いのほか低い声にドキドキしながら、私は精一杯の抵抗をした。