君色の音と私の恋
「え?何?」
間瀬君の言葉が聞こえなくてヘッドホンを外そうとするけど、、間瀬君はヘッドホンを押さえたまま、
「佐藤さんのことが好きだ」
もう一度、私に向かって何か言った。
押さえてた手が緩んで、ヘッドホンを外すと、
「それ似合ってるから、佐藤さんにあげる」
間瀬君が言った。
「こんな高いもの、受け取れないよ!」
「受け取ってほしい。他でもない、佐藤さんに」
慌てて返そうとする私に、真っすぐな目を向ける間瀬君。
逸らすことができないくらいに強い眼差し。
「正式に、プロデビューが決まった」
間瀬君の声。目の前にいるのに、やけに遠く聞こえた。