君色の音と私の恋
「俺が学校に来れなくなることで、夏菜が佐藤さんに嫌がらせをするんじゃないか。また佐藤さんを傷つけてしまうんじゃないかって考えると心配で仕方ないんだ」
予想外の言葉に、目を見開く。
「『何度だって迎えに行く』そう伝えたのに、佐藤さんが俺に助けを求めたとき、すぐに迎えに行けないんじゃないかって考えると、どうしようもなく胸が締め付けられるんだ」
椅子から立ち上がった間瀬君が、私の両肩に手を置いて見下ろす。
透き通るような茶色の瞳が、悲しそうに揺れている。
私は手を伸ばして、間瀬君の髪を撫でた。
「今まで間瀬君が私にくれた言葉、全部。生きる希望になって、今も私の中で暖かい光を灯してる。間瀬君が私を強くしてくれた。心配しないで、夏菜なんかに負けないから」
顔を上げて、揺るぎない声で告げる。
そんな私を間瀬君は引き寄せて抱きしめた。
「何かあったら俺に言って。どんな状況だって、どんなに遠く離れてたって、俺はいつだって、何度だって佐藤さんを迎えに行く。君の笑顔は、俺が守るって約束する」