君色の音と私の恋
間瀬君に会えない時間は増えたけど、全く会えないわけじゃない。
たまに登校する間瀬君は、相変わらず優しい笑顔で私に声をかけてくれる。
間瀬君は夢を掴みかけている。
私も夢を叶えるんだ。
心の中、硬く決意した心が揺らいだのは、
「福岡に引っ越すことにしたから」
突然の母の言葉が原因だった。
どうやらお父さんには長年愛人がいたらしい。
そしてお母さんと2人で営んでいる食堂の売り上げを、お父さんはその女の人につぎ込んでいたらしい。
「夕がいるから。夕に迷惑をかけたくないから耐えてきたけど。お母さん、もう限界。
福岡のおじいちゃんの元に行って、母子2人で1からやりなおそう?」
やつれて、目の下にはくまができて、疲れ切った顔の母。