君色の音と私の恋



本当は福岡になんか行きたくない。



学校なんか、どうでもいい。



友達と言える、友達もいない。



けど……



脳裏に浮かぶのは、金髪みたいな茶色い髪で、汚いものなんか何も知らないみたいに綺麗な目をした間瀬君の顔。



間瀬君と、離れ離れになりたくないよ。



今にも喉から出そうな言葉を、諦めと共に飲み込んだ。




「うん。私、お母さんと福岡に行くよ」



今にも崩れ落ちそうなくらいに憔悴しきった母の背中に、手を添える。



「お母さんね、もう夕しかいないの」



すすり泣く母の背中を、何時間も撫で続けた。




< 36 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop