君色の音と私の恋
本当は福岡になんか行きたくない。
学校なんか、どうでもいい。
友達と言える、友達もいない。
けど……
脳裏に浮かぶのは、金髪みたいな茶色い髪で、汚いものなんか何も知らないみたいに綺麗な目をした間瀬君の顔。
間瀬君と、離れ離れになりたくないよ。
今にも喉から出そうな言葉を、諦めと共に飲み込んだ。
「うん。私、お母さんと福岡に行くよ」
今にも崩れ落ちそうなくらいに憔悴しきった母の背中に、手を添える。
「お母さんね、もう夕しかいないの」
すすり泣く母の背中を、何時間も撫で続けた。