君色の音と私の恋
見慣れた制服姿の間瀬君は、朝、登校した私の元にやってくると、CDを差し出した。
「自分で作詞作曲した俺の歌。どうしても佐藤さんに聴いてほしくて」
私が転校するって聞いた日から、仕事やレッスンの後、事務所のレコーディングスタジオを借りて曲を作っていたらしい。
「離れ離れになっても、絶対にまた会える。そうだろ、佐藤さん?」
力強い声。力強い2つの眼差し。
昨日まで絶望の淵にいた心は、福岡に行くっていう事実は変わらないのに、
確かな未来の光を感じてる。
寂しさや、不安や、悲しみを抱きしめて。
けど確りと前を見つめてる。
私は間瀬君に負けないくらい強い目で、綺麗な茶色の瞳を見つめ返す。
「夢、絶対に叶えるから待っていて」