君色の音と私の恋



初恋って単語に、自分のことを言われた訳じゃないのにドキッとする。



『ありがとうございます。実は言うつもりなかったんですけど、嬉しいから公言しちゃいます』



そう言った声音は、どこか悪戯っ子みたいで、期待と不安で胸が高鳴る。



『この曲は僕の初恋の女の子を想って書いた歌詞なんです。
もうね、ずーっと好きなんです。今、このラジオを聴いてくれてるかな?聴いててくれたら嬉しいな』



間瀬くんの言葉。



間瀬くんの言う初恋の相手が私とは限らない。



高鳴る胸を、冷静な言葉で抑え込もうとしたとき。



『それでは竜也さんから曲紹介をお願いします』



『Soul Loversで【僕たちの夢】。聞いてください』



曲名を聞いた瞬間、無理して抑えていた感情が溢れ出す。



震える唇から嗚咽が漏れる。



ぽろぽろと瞳から溢れて頬を濡らすのは、優しい温もり。



愛しさで胸がはち切れそう。



間瀬くん。



なんど心の中で叫んだことだろう。



あなたが好き。




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